先日の記事でSONYの新機種α1にSIGMAのキャノンEFマウント用レンズをつけたときの挙動について書きました。
α7Ⅲで動体を撮ると使い物にならないレベルだったサンニッパズームのAFがα1では大きく改善されていることが判明。とても羨ましく思いました(80万円とか買えないもん)
この中でちらっと触れたのですが、ほかの新しいαシリーズではどんなもんだろうと色々な機種につけさせてもらいました。
すると新しいボディならAF性能は大方改善されている一方、かなり改善幅や挙動に差があることがわかりました。
既にうっすら忘れかかっているけど備忘録として書き留めておこうと思います。
今後僕が機種選びする際の参考にしたいし、ネット見てるとα7でサンニッパズーム使ってる方も一定数いるようなので少しでも誰かの目に留まればなぁと。
改めて今回の記事で出てくるレンズを紹介。
SIGMA 120-300mm F2.8 DG OS HSM (for Canon EF)
現在ではニコンは純正で同スペックのレンズを発売しましたが、ニコン以外のボディを使っている人でズームできるサンニッパを使いたい場合SIGMAのものがオンリーワンの選択肢です。
SONY用にはAマウント(α99とか)、Eマウント(α6000やα7とか)ともに発売されていないので、通常はこのレンズをα7で使うことができません。
しかしSIGMAから発売されているマウントアダプター「MC-11」を使えば、キャノンEFマウント用レンズをSONYのEマウントでAF等含め使えるようになります。
このサイトにもちゃんと対応ボディにα7Ⅲが、対応レンズに120-300mmが記載されています。逆に新しいボディがことごとく対応に載ってないのはサイトが更新されてないからのはず。この後書くように普通に動きます。
余談ですがSIGMAでは本レンズを含め歴代4本のサンニッパズームが発売されています。
特に一世代前の「APO 120-300mm F2.8 EX DG OS HSM」は外装やAF機構が違うもののレンズ構成が同じ。しかしMC-11 に対応していないため、αシリーズでAFを使うことはできないようです。ちなみに「Fringer」のマウントアダプターを介して富士フィルム機で使うとこのモデルでもAFが効くらしい。
ここら辺は又聞きなので真偽は何とも言えないんですが。
ここで現状のα7Ⅲとの相性を軽く説明。
端的に言うとアクパではイルカのジャンプシーンでピントを合わせるのは至難の業。
奥行き方向、すなわち前後の動きがあるときピントが合わないのはまぁ分かるんですが、横っ飛びしているシーンでもほぼ合うことがないのはかなりストレスです。
特にフレキシブルスポットSで完璧に顔を捉え続けているのに、拡大するとボケボケなのは少々メンタルにくるものがあります笑
超たまーにピントが合ったのも撮れるけど2枚連続で合った試しもありません。
ほぼ止まったイルカでもなんか甘いなぁと思うことが多くて、確認すると大体前ピン。
フレキシブルスポットSってこれだぜ?
これをほぼ動かないイルカの目に当てても前ピンってどういうことなんだろうか。
SIGMAの名誉のために(??)書いておくと、そもそもMC-11 は公式にはAF-Cに対応していないし、そのAF-Cでも完全な静物を撮ると普通にガチピンが来ますし、屋外のシーパラでは跳ぶイルカに普通にピントが合っていました。
まぁ細かいことはさておきアクパにおける撮影ではスピード(初速)、喰い付き(追従力)、精度。どれをとっても不満な訳です。
多分環境が暗いからなんだろうな…。タムロンの17-35mm F2.8-4もMC-11 を介して使っていますがローコントラストな場面ではAFがびくともしないことがありますから。
でここからがショールームで試してきた話。
以下発売日順に並んでおります。
共通の設定は、F2.8、SS1/500、AF-C、フレキシブルスポットS、被写体追従感度3(普通)
暗さが原因なら明るいショールームでの試用じゃ参考にならんのでは、とも思ったのですが今回試すとショールームでもかなり挙動の差がありました。
α7Ⅱ(2014年12月発売)
今回試したボディの中では一番発売時期が昔のものですが、予想通り相性はワースト。
AF速度はα7Ⅲと比べてもさらに一段と遅い。何より気になったのはデフォーカスした状態でシャッターを切ると一瞬フリーズしたような間があって、ファインダーではデフォーカスした状態のままシャッターが切れること。撮影した画像はピントは合ってるんですが嬉しくはない挙動。
もっともMAX5コマ/秒のカメラですから、このレンズと組み合わせるものではないでしょうね、そもそも。
レンズとの相性は関係ないけど、α7Ⅲのレスポンスでもかなりイライラする僕には「こんなレスポンスの悪いカメラ売ってたんか!」と思っちゃうくらい操作ラグがありました。
α9(2017年5月発売)
画像処理エンジンはα7Ⅲと同じBIONZ Xであるが、読み出し速度が超絶速い積層センサーを搭載することによって一般にはα7Ⅲを大きく上回るAF性能といわれています。
しかし、サンニッパズームを着けたときの挙動はα7Ⅲのときと瓜二つ。性能差は全くと言ってよいほど感じませんでした。
α7RⅣ(2019年9月発売)
今回試した中ではトップクラスの相性だったのがα7RⅣ。
近距離の被写体でも、大きく外した状態でなければ上々のスピードで合焦。もちろんある程度離れた被写体ではスパスパとスムーズで、大差はないにせよα1を超える相性にも感じました。
α9Ⅱ(2019年11月発売)
α1やα7RⅣには少しスピード面で劣るものの、初代のα9とは明らかに別物の挙動。遠距離の被写体から近距離の被写体にピントを移動させたときのスムーズさは、今回試した中では一番かも。
もっとも120-300mmはMC-11 装着時でもフルタイムMFに対応しているので、大きくデフォーカスした状態のときはそっちが早いはず。
なにより不思議なのはこのカメラ、初代のα9とセンサーもエンジンも据え置きであること。AFに幾らかのチューニングはあるようですが、ここまで差があるのは不思議です。
α6600(2019年11月発売)
こちらもまずまずな挙動。遠距離→遠距離や中距離→遠距離ならかなりスムーズにAFが効きます。一方近距離の被写体や、遠距離→中・近距離へのシフトは苦戦気味。それでもα7Ⅲよりは良いんですが。
やっぱり不思議なのはエンジンはα7Ⅲと同じな上、センサーは2016年3月発売のα6300と同じかなり古いもの。しかもAPS-Cなので換算450mmになりAF面では幾らか不利そうなものですが、α7Ⅲよりは明らかに早い。うーん、どういう理屈だ??笑
α7SⅢ(2020年10月発売)
α1と同じ最新のエンジンBIONZ XRを搭載しているα7SⅢ。
α1とα7RⅣに迫る挙動。ただAFは前述の2機種と違って柔らかい感覚。スパっと合うα1とα7RⅣと違って、ピント面の前で若干速度が滑らかに遅くなってスッと合う感じ。決して遅くなるわけではなく少し上品というか…。まぁ誤差の範疇かも。
動画志向のカメラだからAF挙動のチューニングが違うのかなぁなんて思ったのですが、動画用と静止画用でAF挙動を変えているはずなので謎。
α7C(2020年10月発売)
α7Ⅲとセンサー・エンジンともに据え置きなこの機種ですが、やっぱりAF挙動は明らかに向上していました。とはいえ、イルカショーで前列から振り回すのには心もとない性能。
まぁそもそもこのカメラは望遠レンズを着けるためのものではないはず。この貧弱なグリップで4㎏近い重さのこのレンズをつけて実戦は腕がへし折れると思います。縦グリないし笑
シルバーボディ、かっこいいんですけどねー笑
総じて試した感じだと
α7RⅣ≧α1>α7SⅢ・α9Ⅱ>>α6600≧α7C>α7Ⅲ・α9>>α7Ⅱ
って感じでしょうか。
α7Ⅲ以降に出たボディはどれもまずまずの挙動を見せていました。
エンジンは一緒でも改善している機種が多く、なんかしらのソフトウェアの変更があったと思われます。
個人的にある程度実用レベルと感じたのはα7RⅣ・α1・α7SⅢ・α9Ⅱの4機種。
あくまで今回試した中での話ですけど、今回試してない機種って主なものだとα7RⅢくらいですかね、フルサイズだと。同時期に出たα9やα7Ⅲが相性悪めなので良い予感はしないです。
あと最後、35mm GM、85㎜ GM、90mm MACROの3つはかなりえぐいレンズですね。とてもそそられるものがありました。