α1降臨
1月26日、ソニーから新しいカメラが発表されました
その名もα1
こんな記事を読む方はすでにご存じだとは思いますが主要スペックを。
- フルサイズ5010万画素 裏面照射積層センサー
- 従来比8倍の処理能力であるエンジン「BIONZ XR」
- AF/AE追従で30コマ/秒の高速連写
- 秒最大120回のAF/AE演算
- 240fps対応のブラックアウトフリー944万ドットEVF
- 超高速読み出しでほぼ歪まない電子シャッター
- 8K30Pと4K120Pに対応
他にもいろいろとすごいスペックのオンパレード。
少なくともスペック表においてα1に敵う機種はほぼ無いんじゃないかと思います。
(詳細スペックはこちらで)
ソニーはこれまでフルサイズミラーレスとしてα7・α9シリーズを展開。
実質的なフラッグシップをα9が務めていましたが(正式には用途が異なる横並びの扱い)、今回のα1は正真正銘のフラッグシップモデルとなります。
既存のシリーズすべての能力をほぼ網羅・超越する分、
価格もびっくりで店頭価格は80万円前後。
正直買えたもんじゃありません。
しかしこれだけのカメラが自分が使っているメーカーから出たら興味が湧くというもの。
銀座のショールームで行われている発売前先行体験に行ってきました。
ちなみにこのイベントは予約必須。興味ある方は以下のリンクからどうぞ。
買えなくても触りに行ったのは単なる興味だけでなく、今後下位機種に降りてくるだろう機能を確かめるため。
ソニーは下位機種でもどんどん上位機の機能を降ろしてくれます。
実際僕の使っているα7Ⅲも
α9譲りのセンサー(積層じゃないけど)、AFアルゴリズム、手振れ補正
α7RⅢ譲りのボディ、シャッターユニット
といった性能を譲り受け比較的安価だったことから大ヒットモデルになっています。
逆に言えば開発費ほぼゼロだからぼろ儲けだろうね
次期後継、α7Ⅳはどんな感じになるのかなぁ
実は僕の手持ちレンズは広角(17-35mm)も単焦点(135mm)も望遠ズーム(120-300mm)もキャノンの一眼レフ用レンズで、ソニー専用レンズを一本も持っていません。
アダプターを介しているとAF速度や精度では不利になるけど、逆に今なら痛い思いをせずに他社に乗り換えられるんですよね。目下注目しているのはキャノンのRシリーズ。
次に欲しい画角の85mmは純正をと思っているので、αと心中するかRに移行するか決めないとレンズ買えないんですよね。
そんな期待の機種α7Ⅳの偵察といったところです。
いざ銀座
予約時刻は15分間隔で設定されていて触れるのは一人10分。
α1は2台準備されていて同時刻に二人体験できるようです。
さて今回、注目していたポイントは最初の目次の通り
- 操作レスポンスが速くなっているか
- ファインダーの見え
- AFやのスピードや挙動
- 高画素化による高感度への影響
- MC-11使用時のAFや連写
操作レスポンス
ここは現在使っているα7ⅲの一番気に入らないポイント。
電源を入れたとき、電子ダイヤルでSSを変えるとき、カスタムボタンで機能を呼び出すとき…
ありとあらゆるレスポンスが1,2テンポ遅れます。
噂には聞いていたし何回も触ったことはあったんですけどね…
実際に0.1秒を争う場面(イルカショーとか)で使うとかなり困ります。
というか実戦投入した初日、即日売却しようかと思いました()
すでに発売されているα7sⅲにも新エンジン「BIONZ XR」が載ってるんですが、家電量販店で触って思ったのは
「他社並みになってる!!」ということ。
どうやらノロノロレスポンスの原因は、これまでのエンジン「BIONZ X」の処理能力のようです。
これまでのもAF演算は速いのにね、謎。
で、実際に触ったα1はどうかというと…
特にストレスMAXだったジョイスティックのレスポンス
動作動画はないけどとても良い感じ。これなら使えそうだ。
sⅢ比でも少しだけ早くなっているような印象。
形状もだいぶ前からですが改善されてます。
第三世代のは安っぽいとしか言いようがない代物。投げ込み式フィルターの部品みたいな触感()
他にもα7Ⅲと比べるとボタンの押しやすさ(大きさ&ストローク&感度)、ダイヤル使用時のレスポンス&感触にグリップ。差は歴然としていて、他社にも全く引けを取らない仕上がり。フラッグシップだから当然なんだろうけど。
これがα7Ⅳに降りてくると考えるだけでもうニコニコです。
ちなみにダイヤルにはことごとくロック機構が付いています。
個人的には邪魔ですし、トルク式ではないらしい(試してないし未確認です)けど、なかったら文句を言うレビューも見るのであった方がいいんでしょうね。
ファインダーの見え
944万ドットの高精細OLEDと、世界初240fpsのリフレッシュレート
世界最大のファインダー倍率0.90倍
ファインダーのスペックもぶっ飛んでいるα1。
これまで覗いた電子ファインダー(EVF)の中で僕が一番良いと思っていたのは、ニコンのZ7&6&5に載っている369万ドットのもの。
同じドット数のファインダーは他社にもあるし、パナのS1シリーズやα7RⅣに至っては576万ドットのものが搭載されています。
でもファインダーの美しさはZが圧倒的。ほとんどは店頭で覗いただけだけど、はっきり判る自然さがありました。
まぁニコンの場合はそれと引き換えに応答速度を落としているので動体には向かないそうですが。
そういえばこれまでD7000やEOS 70Dといったレフ機も使って光学ファインダーも覗いたんですが全く感動しなかったんですよね。目がおかしいのか、ずっとEVF育ちだからなのか…。それともD850 のとか見たらすごさ分かるのかな?
余談はほどほどにα1のファインダーの感想を。
まずめちゃくちゃ広い!!
それから解像も見え方も素晴らしくて、これはZを超えたって言っていいんじゃないかなぁ。
レスポンスは実戦投入しないと分からないわけですけど、α7Ⅲで見られる半押し時に解像度が低下する現象も無くなっているように感じました。
240fpsだったらあるのかな?? また240fps時はファインダー倍率が下がるんですが、元がかなり広いのでちょうどいいくらいかも。
AFのスピードや挙動
最初にセットされていたレンズは24-70mm F2.8 GM。
まっ、ここに関しては言うまでもないでしょう。当然爆速で追従もすごかったです。
ただシャッターがメカか電子でAF枠表示のラグが違うように感じました。メカだと枠表示が少しカクつくような。メカの連写時でもしっかりピントは合ってましたけど、あくまでも製品版ではないので発売までに変わるのかな。
AFとは違うけどシャッター音は独特でしたね。感触も独特。
かなりの進化を感じたのは被写体追従感度を粘るに振ったときの粘り具合。
手前のものにピントを合わせてから連写を開始。
ゆっくりとパンしAF枠が奥の被写体に被ってから実際にピントが奥に会うまでのコマ数をざっくりですが調べました。
条件:SS、ISO、F等は固定。連写はメカ10コマ(枚数揃えるため)
AF-C フレキシブルスポットS 追従感度1(粘りに全振り)
α7Ⅲは5コマ目くらいで奥にピンが行きます。
対してα1は15~20コマ目。
随分と粘るようにチューニングされているようです。そのあと試したSⅢでも同じような性能だったのでBIONZ XR搭載機はがっつり粘るのかな。ありがたいことです。
高画素化による高感度への影響
最近感じるのが各社どのセンサーサイズにおいても高感度耐性が天井うちであること。
α7RⅡが出たときは「この画素数でこの高感度は革命!」なんて声もあったと思いますが、最近は読み出し速度優先に各社シフトしているせいか足踏み状態で、高画素化すればその分高感度もしっかり落ちている機種が多く感じます。
手元のα7Ⅲの2400万画素センサーは現状高感度性能ではトップクラスとの評価を得ているわけですが、個人的にはISO6400が一つの目安かなぁという印象。
さて5010万画素のα1の高感度は如何に
撮影ファイルは持ち帰れないので撮って出しJPEGを見た感想だけになるんですが、
BIONZ Xのノイズ処理はだいぶうまくなったなぁといった印象。
ソニーのノイズ処理ってディテール優先でして、キャノンやパナに比べるとリダクションが弱いうえ「ノイズ除去 強」設定もないんですよね。
なので6400まで上げるとザラザラ感はありました。ただ1000万画素ほど高画素なα7RⅣに比べるとノイズは明らかに控えめで、低感度時のざらつきもだいぶ少なかったです。
読み出し爆速な割には大健闘、って感じかな…??
まぁこれだけJPEGがまとまってれば正直RAWの改善がそこそこでもいいや、って思っちゃいました。
画素数がより少ないであろうα7Ⅳ(3000万画素程度との噂)はもっと良いってことだもんね。
MC-11使用時のAFや連写
手持ちのレンズも自由に着けていいとのことでしたので、SIGMAさんのマウントアダプターMC-11を介してキャノンEF用レンズを装着。
まず試したのがSIGMA 135mm F1.8 ART。
挙動は何と言うか至って普通。
というかα7Ⅲと比べるとAFのスピードが落ちているような…
α7Ⅲで十分以上のスピードと精度が出るし、このレンズをα1で使うメリットはなさそうです。
次の着けたのが同じくSIGMAの120-300mm F2.8 SPORTS.
α7Ⅲでは縦グリ必須の組み合わせですが、グリップが劇的によくなったα1では単体でもそれなりに安定します。もちろんあった方がいいですけど。
このレンズ実はα7Ⅲと組み合わせるとAFはひどいざま。
屋外で比較的遅い動体なら追えますけど、アクアパークのイルカショーで使うのは大博打。一番精度が高いフレキシブルスポットSを使っても9割がた外します。
ところがα1に着けてみるとびっくり仰天。
α7Ⅲ比で体感3倍くらい早くなっている気がしました。
遠距離→近距離だと結構かかるのでここはフルタイムMFを使うとして、遠距離→中距離くらいならかなりスパスパ合焦。まぁ元が酷すぎるし勿論100-400mm GMには及ばないけどなかなか上々。
追従するかも大事だし、早さだけで語れるものじゃないですが劇的な改善と言ってよさげ。
これがα1だけの性能なのか調べたんですが、新しいボディならかなり早いことが判明。
詳しくは別記事で書こうと思いますが(需要なさそうだけどα7で使う人も一定数いるらしいので…)、一番快適だったのはα1とα7RⅣ。次いでα7sⅢ。
いわゆる第三世代3兄弟(α9、α7RⅢ、α7Ⅲ)はどれも遅かったです。
現状あまりに使い物にならないので売却して暗いけど100-400mm GMを買うか、ボディをキャノンに変えるか…なんて悩んでいたんですがかなり安心。
α7Ⅳは135mmも120-300mmもスパスパ動くといいなぁ…
なおα1は秒間30コマの連写ができるレンズが少し限定されています。
純正レンズは大丈夫なものが多いですが、タムロンやシグマといったサードパーティーはソニーEマウント専用レンズでもMAX秒15コマ。
マウントアダプター使用時に早くなることはまずないでしょうから、どんなに早くても秒15コマってところ。5000万画素で15コマってめちゃくちゃ早いわけですが、スペック表の半分と聞くとうーんって気もしないでもない。
感想とα7Ⅳに降りてきそうな機能
α1の感想を一言でいうと「最強マシン」
詰めが甘いと感じるところもほぼなく、基本性能もこの上ない。
ただ値段は如何せん高すぎかなぁと。
キャノンのR5とめちゃくちゃに差があるわけじゃないんですよね。
1.5倍の連写速、歪まない電子シャッター、ブラックアウトフリーのファインダー。
優位性は確かにあるんでしょう。特に連写時のファインダーの見えは圧倒していると思います(R5の体験会も行ったけどそこはイマイチだった)
でも35万円の差って結構です笑
さて僕期待のα7Ⅳについてですが
降りてきそうな機能は正直…ほぼないんじゃないでしょうか。
5000万画素は7Ⅳには明らかなオーバースペックでしょう。
積層センサーの搭載もないと思います。画素数がそこまで変わらないであろうα9Ⅲと差別化が難しくなるので。
ファインダーも良くて576万ドット(α7RⅣと同じ)でしょう。7Ⅲのときもここは一世代前のものが搭載されています。
シャッターユニットはα1もα7Ⅲもメカシャッターは秒間10コマなのでおそらく据え置き。
手振れ補正はほぼ進化がないのでおそらくそのまま。
共有されるのは、すでにα1以外でも共有されているボディ形状やBIONZ XR他もろもろ(新しいメニューとかHIEFとか)。
これを除いて可能性があるのはAFのアルゴリズムとモニターくらいでしょうか。
AFポイント数や画素数は同じα9とα7ⅢのAFも差はかなりあると聞きます。
この2機種の主な差はセンサーからの読み出し速度。
アルゴリズムの流用でもAFは無論良くなるでしょうけど、積層じゃないと劇的な改善は望めないかなぁと。もっとも噂では高速読み出しのセンサーが載るとかなんとか…
なんていいつつ僕はAF含め今のα7Ⅲにはかなり満足しています。
不満はいくつかありますが、決定的なものはグダグダレスポンスとサンニッパズームとの相性くらい。
ここが解消されている打算はかなり大きそう。
すなわち「買い」ですね、おそらく。いつ出るかなぁ…
そんな訳で、αと今後も進んでいくのかなぁと感じたフラッグシップ‐インプレッションでした。